140字で甘やかされる

「お前のかく文章は回りくどい」「薄々そんな気がしてた」
というわけで、簡潔に萌える文章を書きたいと思い、140字(ツイッタ文字制限)で簡単なお話(後付けの理由)。テーマは「140字で甘やかされる警部」(これまた後付なテーマ)

ツイッタに投下して終わりのつもりがひとつ投下しそびれたのでここにまとめて置いておきます
ここでかく表題をハッシュタグにしてたので正確には140-3~5字数くらいかも。

おやすみ

相手の寝息を確かめて男はそっと体を起こした。「ごめんな、俺どうしても行かなきゃなんねんだわ」呟くと手首に触れる。数秒後、微かな金属音を立てて二人 を繋いでいた鎖が地面に落ちた。相手は目覚める様子もない。男は身を屈めると相手の額に口づけた。「ゆっくりおやすみ、とっつあん」

おはよう

違和感の元は部屋に漂う匂いだとすぐに気付いた。起きようとしたが体の節々が悲鳴を上げる。唸りながらやっとのことで布団の上に胡坐をかいた。眠気を追いやるように目を擦る。「起きたのか」台所から声がしてそちらを見ると見覚えのある黒い帽子。「朝飯出来てるぜ、おはよう銭さん」

昼休み

男は差出された手にそっぽを向いた。「そんなものでは釣られん」「だろうな」溜息をつき隣に腰を下ろす。「いいから食えよ。ここではなかなか手に入るま い」並んで握り飯を頬張る。指についた米粒まできれいに舐めとった男が初めてこちらを見た。「腹ごなしに一つお手合わせ願おう、銭形殿」

鈍感

「あいつとは自由恋愛だからいいの、俺も今他に気になってる子がいるから」熱く潤んだ目線で反応を窺う。「普段はゴリラみたいにおっとろしいんだけどたま に笑うと可愛いんだよねぇ」「変わった趣味してるな」興味なさげに相槌を打つ相手。それじゃ一生気付かれないぞ、と思う相棒二人であった。

泥酔

「畜生、奴め何か薬を盛りやがったな」顔面蒼白になり口元を押さえる上司の体を支えた。「いえ、単なる呑み過ぎです警部」丸めた背中をさする。こんなに 酔っても、この人の頭は賊のことで占められている。そう思うと男の口角はギュッと下がった。その感情が何なのかまだ誰も、本人すら知らない。

そしてまたおやすみ

「疲れてるんだ」自分の胸に頭を凭れさせながらも言い訳めいた呟きを零す相手に目を細める。しばらくしてうとうとし始めた相手の頬を指先で撫でた。本当ならこの隙に情報を盗み出してサヨナラなんだけど。今夜だけは甘えさせてあげる。「おやすみなさい、銭形さん」女は慈しむように微笑んだ。

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