時報SSまとめ

時報SSとはノレ公式ツイ垢が突如始めた謎企画(?)、ノレノヽ゜ソ三世時報のツイートをお題にして勝手に妄想を繰り広げたものです。

「今日こそ逮捕だ」
と銭形は歯をむき出して笑って見せた。浅黒く焼けた厳つい顔の中でちらりと見えるピンク色がやけになまめかしい。ルパンはそんな銭形の顔を思案気にまじまじと眺めるとぽそりと言った。
「いい歯茎だネ」
ルパンの言葉に銭形はぎょっとして口を手で覆った。それを見たルパンの口角が吊り上がる。
「舐め回してやろうか?あン時みたいにさァ」
次いでべろりと舌を出すルパンに銭形の顔が真っ赤になる。いやらしく動くルパンの舌に視線は釘付けのまま。
「…っかやろ、仕事中だぞ」
分厚い掌の隙間から漏れた声はついさっきの勢いはどこへやら、頼りなく揺れて。ルパンはこの後の逢瀬を思ってますます笑みを深くするのであった。

「ほらほらぁ!可愛いでしょ、天使ルパン。でも本当はとっつあんに着てほしかったのよネ」
くるりとターンすると白いネグリジェの裾が翻って毛の生えた脛が露になる。煙草を咥えたままそれを見ていた銭形はげんなりした顔で煙を吐いた。
「クリスマスイブイブ だってのにこんなおっさん相手に酔狂なこった。だいたい貴様、神様なんぞ信じちゃおらんだろうが」
「神様は信じてなくてもイベントにはマメでいたいのさ。それに俺、銭形けイブのほうがいいんだも~ん😇」
銭形は面食らったように息を吐くと煙草を灰皿で揉み消した。
「ワシはその扮装、好きじゃない」
「えっ。どうして」
きょとんと眼を丸くするルパンの頭上で輪っかが揺れている。それを眺めて銭形は苦笑した。
「その恰好、どうしたってお前を亡くした時のことを考えちまうからな」

「君の瞳に乾杯 」
そう言ってシャンパングラスを掲げてみせると向かいに座る男は目をぱちくりさせた。一瞬の間があって、銭形は
「そんな臭いセリフ、俺に言うなよ」
と真っ赤になって呟いた。その丸くて大きな瞳に街のイルミネーションが映って、いつも以上にキラキラと輝いて見える。
「きれいだヨ」
「ん゛…っん」
ルパンの柔らかな微笑みとともに零れた言葉に銭形は思わずぎゅっと目を閉じて咳払いをした。

「2018年こうご期待」
言うとルパンはにっこり笑ってケーキを刺したフォークを銭形の口元に差し出した。
「なぁにがこうご期待だ、来年こそは逮捕してやるからな」
むっとした顔で言う銭形だが素直に口を開ける。
「甘い」むぐむぐとケーキを食べる銭形を見てルパンは満足げに笑った。ごくりと飲み込んで銭形は怪訝な顔をする。
「お前は食わんのか?」
「俺は後で、もっといいものイタダキマス♡」
鼻をつんと上向けて思わせぶりに言うルパンに銭形の顔が険しくなる。
「なんだ、何を企んでる?ここに何か目当てのお宝が――?」
ぎょろりと目を剥いて辺りを伺う銭形の様子にルパンは呆れた顔でため息をついた。ま、そんな反応も予想通りだけどね……呟きながら内ポケットから封筒を取り出す。
「はい、予告状」
二本指で挟んでピッと差し出されたそれを銭形は注意深く受け取る。封筒の中に、薄くて硬い感触。
「……、なんだ、これは」
「カードキーだよ。上に部屋、とってあるから」
しばらくの沈黙のち、ぱちぱちと目を瞬いた銭形の喉の奥からうぅ、と呻きが漏れた。

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